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院長コラム

2013-06-06

院長メッセージ(21)大和・心を考える(6)

海・命・森林・呼吸について

我は海の子 白波(しらなみ)の さわぐいそべの松原(まつばら)に 煙(けむり)たなびくとまやこそ 我が懐(なつ)かしき住家(すみか)なれ

生れてしおに浴(ゆあみ)して 浪(なみ)を子守の歌と聞き 千里(せんり)寄せて来る海の気(き)を 吸(す)いてわらべとなりにけり

福島原発事故2011・3・11

福島第Ⅰ原発の事故は、毎日JP(4月29日)によると【東京電力福島第一原発の地下水槽から、放射能汚染水が相次いで漏れた問題は、事故から2年以上経過した現在も事故が収束してないことを浮き彫りにした。膨大な汚染水は、廃炉を含めたさまざまな作業の妨げとなり、廃炉作業を検証した国際原子力機関(IAEA)も「汚染水は最大の難関」と指摘する】今原子炉の冷却水だけでなく、地下水槽に地下水が流入してその貯蔵方法にも限界があり、地下水の流入を減らすために地下水を海に流すことが検討されている。

数年前の夏に、故郷の酒田に帰った時に、兄のボートで海釣りに誘われた。庄内浜は天気がよく、海は凪(なぎ)だった。沖に見える飛島が近くに見えた。「まだ飛島に行ったことがない」とポツンと言うと兄は「今日は島に行くチャンスだ!」と舵(かじ)を切った。初めて飛島に渡った。

日本海は静かな海であった。

21釣りを始めた。ボートの上で釣り糸を垂れ、海底にトントンと錘(おもり)を上げ下げする。クック―と引きが入ると釣り糸をあげる。青い空そして広い海、ゆっくり揺れるボートの上で錘(おもり)が海底を叩く感触、鰈(かれい)が糸を引く手ごたえを繰り返していると、ふっと何とも言えない心地になってくる。それは子供の頃、母の傍(そば)で自分の記憶のない幼いころの話を聞いている不思議な安心感にも似ている。

三木成夫著「胎児の世界」中央公論社刊によれば、生命が発生したのは30億年以上も前の海の中であるという。

そして約5億年の脊椎動物史に見る魚類は、海から陸に住処を変える両生類への進化に1億年の時を要した。それは陸の生活のために、命の塩といわれる海水を如何に血肉として取り込むかという時間でもあった。さらに恐竜社会の爬虫類の進化を経て、2億年前に哺乳類の時代が始まる。

哺乳類で最も進化したのがヒトである。ヒトという個体発生は、生命の誕生から魚類―両生類―爬虫類―哺乳類―ヒトまでの進化の過程(系統発生ともいう)を再体験して、誕生すると考えられる。

ヒトの胎児が育まれる子宮の羊水の組成は古代海水のそれに似ているという。そして母体が妊娠初期(受胎32日から1週間)に体験する悪阻(つわり)は、「胎児が生命の進化で、魚類が海から陸に住処を変える両生類に進化した過程を再体験している」証拠であるという。

ヒトは、280日の間、子宮の羊水の中で太古の海で魚が鰓呼吸したように羊水呼吸をして成長をしている。胎児は魚類が陸生に要した1億年を一瞬にして超え、肺呼吸の世界に降りる。赤ちゃん(ヒト)の誕生である。

「羊水呼吸から一瞬にして、肺呼吸の世界に降りる」呼吸と初声(うぶこえ)の意味を考えてみたい。

赤ちゃん初声(うぶこえ)は、最初の呼吸で「吐く(泣く)」そして「吸う」順序になっている。

落ち着いてことに当たる時に、呼吸を整える。焦らずに考えて行動する時に、ひと呼吸を入れてから動く。相手があわてて喋って行動する時に、相手の呼吸をはかって対応する。呼吸は、酸素と炭酸ガスの交換だけはなく、自律神経系の調整など、命を守る大切な機能である。

呼吸を整えるには、「吐くことに意識を集中させて、ゆっくり吸う」ことが大事である。
現代の多忙な生活には、時折腹式呼吸をして呼吸を整える時間を作ることが食事を摂ることと同じ程度に大切なのだと思う。

精神科医の立場からもう一点を推測すると、この初声(うぶごえ)(産声)は、脊椎動物の数億年の進化と成長を終えて、人として生まれた喜びと生きる決意のメッセージと考えていいのではないか。

初声(うぶごえ)を上げた子は、基本的に人の個体として完成されており、その後に子供を育くむのは、家族であり社会総体でなければならない。だから世界中で、子宝(こだから)として社会総体で育くむ生活習慣があることは納得できるものである。

日本列島は豊かな海に囲まれている。そして海を豊かにしているのは、日本列島の背骨ともいえる山脈である。光合成をする森林は、動物の呼吸で生じる炭酸ガスを酸素に変えて、豊かな大気を作る。更に森林の枯葉などで生じる有機物や微生物は生物の栄養素となり、土を豊かにし、川や海を豊かにする。

ヒトは海の子であり、われは海の子である。

原発事故による、「母なる海が汚染されている」ニュースを聞くたびに、心が痛むのは、そんな思いがあるからだろうか。一日も早い原発事故が収束されることを祈りたい。

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