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治療抵抗性統合失調症外来

  • 「精神科専門医」「精神科専門医指導医」伊藤侯輝医師が診察を行います。
  • 伊藤侯輝医師は「統合失調症薬物治療ガイドライン、改訂版(2022)」の執筆に携わりました。
  • 当院はCPMS(クロザリル患者モニタリングサービス)登録医療機関です。
 クロザリル(クロザピン)治療が可能です。

治療抵抗性統合失調症外来の初診診察は毎週金曜日午前中です。
予約制ですので、診療時間をご確認の上、お電話にてご予約下さい。
お電話番号:011-561-0708

治療抵抗性統合失調症外来の特徴

こんなお悩みをお持ちの方へ

  • 統合失調症の診断を希望される方
  • これまでの治療では十分に効果が出ていない、副作用により薬を十分に服用できない方
  • 薬の剤形や種類の変更をしたい、クロザピンに興味をお持ちの方
  • 作業療法やデイケアでコミュニケーション・スキルの訓練をして社会復帰を目指したい方
  • 暮らしのサポートとして、訪問看護を利用したい方


当専門外来ではこのようなお悩みやご希望をお持ちの方を対象としています。
患者さんと話し合いながら必要に応じて薬の使用範囲を広げる、剤形を変えるなど可能な限り治療の選択肢を増やし、患者さんに一番合う治療を模索します。
また、薬物治療だけでなく、リハビリテーションや生活のサポートまで包括的に支援することで、それぞれの患者さんにベストの治療を提供することを目指します。

統合失調症とは

統合失調症は思春期から青年期に発症することが多く、長期の治療が必要です。
生涯発病率は約0.85% (120人に1人)といわれており、 珍しい病気ではありません。
個人差はありますが、以下のような症状があります。

陽性症状
存在しない人の声が聞こえる(幻聴)
事実ではないことをそうだと信じてしまう(妄想) など

 陰性症状
 意欲がわかない
 喜怒哀楽の感情が出ない
 自宅に引きこもる など
認知機能障害
注意力が低下する
集中できない
記憶力が低下する
うまく考えられない
今まで出来ていたことができない など

 感情障害
 憂うつ感が続く
 不安が強い
 イライラがとまらない
 死にたくなる など

治療抵抗性とは

薬物治療の中断などの理由により、統合失調症は再発を繰り返す可能性が高くなります。
それだけでなく、そのたびに病態が進行してお薬が効きにくくなることもわかっています。
大まかに、これまでの治療では効果が十分に出ていない方のことを「治療抵抗性」と呼びます。
また「反応性不良」と「耐容性不良」の2タイプに分けられます。

反応性不良 : 2種類の抗精神病薬を十分量・十分期間使用しても改善しないこと
耐容性不良 : 錐体外路症状(手の震え・体のムズムズ感・動きが鈍くなる)などによりお薬を十分に増量できないこと

上記のような理由で、全体の約30%が薬物治療での改善が不十分だといわれています。
つまり、治療抵抗性の患者さんは、実は少なくありません。


治療について



 統合失調症治療は患者さんの症状や回復状態に合わせ、

 様々な治療を組み合わせて行います。

  主な治療について紹介します。


薬物療法

統合失調症の原因はいまだに解明されていませんが、脳内の神経伝達物質のバランス不良が背景にあるといわれています。そのため統合失調症は内因性の疾患に分類され、薬物治療が必要となります。お薬によって脳内の神経伝達物質のバランスを整えて、陽性症状や陰性症状などを改善させます。


薬の剤形について
薬の剤形について
現在、統合失調症のお薬は種類だけでなく、剤形まで含めてとても多くの選択肢があります。
また近年のガイドラインで推奨されている薬だけなく、過去に長年使用されてきた薬剤も含めて広い視野で、その患者さんにあったお薬を探していきます。




薬の種類について
統合失調症に使われる抗精神病薬は薬剤の開発時期により一般的に、「第一世代抗精神病薬」と「第二世代抗精神病薬」に分けられます。近年では、副作用が少ないことから主に第二世代抗精神病薬が推奨されていますが、第一世代抗精神病薬の方が劣っているということではありません。
患者さんそれぞれの病状や体質で、適した薬は異なります。

クロザピンについて
クロザピンは治療抵抗性の統合失調症に対して、唯一有効性が確かめられているお薬です。しかしその効果と引き換えに強い副作用が出る可能性があります。
そのためクロザピンを新たに使用する際には、クロザピン使用の認定を受けた病院に入院しなければなりません。当院はクロザピン使用の認定を受けています。クロザピンへのご興味をお持ちの方、変更を希望される方はお問い合わせください。


リハビリテーション

当院では作業療法やデイケア、などのリハビリテーションや、生活をサポートする訪問看護も行っています。
コミュケーション・スキルを訓練し、社会復帰を目指したい方にはリワーク・デイケアも実施しています。



心理的サポート

医師や心理士などの専門家により、患者さん自身が病気・病状への理解を深め、精神的な安定をはかるために
精神療法や心理療法を行います。

最後に

近年、薬物療法では症状が十分に改善しない患者さんへの新たな治療法として、ニューロモデュレーション治療(電気や磁気などによる刺激で、神経の働きを調整する治療法)の研究開発がとても盛んになっています。
当院が北海道内で唯一取り入れている「rTMS療法」もその一つです。
その中で、現在は研究段階ではありますが、「経頭蓋直流電気刺激(tDCS)」、「磁気けいれん療法(MST)」など、統合失調症に対するニューロモデュレーション療法の登場も期待されています。

上記のような新たな取り組みも含め、治療の選択肢は年々広がっています。
これまで思ったような成果に至らなかった方も、一度当外来に相談してみませんか?
「今から最善の治療選択」を、一緒に探していきましょう。

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