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理事長メッセージ

理事長メッセージ

理事長メッセージ(50)平松記念病院の2022年度の方向
2022-04-04
2022・4・3 宗 代次

コロナ感染症(COVID-19)のパンデミックは、日常の生活スタイルと共に、テレワーク・オンライン授業など教育現場から会社など働く現場にまで変化をもたらしています。精神医療・福祉の在り方にも少なからず変化をもたらしていくと考えられます。
いち早く求められた密閉・密集・密接の三密を避ける原則的な対策は、かつての結核のパンデミックに対する大気、安静、栄養が大切と言われた歴史を思い出しました。

結核に対しては、
1.保健・衛生の向上
2.ワクチン、治療薬の進歩
これらが相まって、治療・療養環境は、病院中心から在宅療養環境へと移行し、今の言葉では「ウイズ結核」を実現しました。

2021年11月19日、厚労省が「医療計画の見直し等に関する検討会」では、2024年度からの第8次医療計画に対して、新興感染症対策を医療計画の中に明確に位置付け、「5事業」を「6事業」とすることが検討され、これからの新興感染症(コロナ・COVID-19)もウイズコロナの方向に急速に展開されていくと思います。

5疾病はがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患です。6事業は救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児救急医療を含む小児医療(その他)の他に、6番目に新興感染症対策等が加わります。

少子・超高齢化が更に進む中で、私たちは次の基本的認識を共有しております。
①多くの人が生活のしにくさ(対人関係の取り方、学校や職場でのストレス…)を感じている。
②多くの人がリラックスできない状況にある。多様化した価値観のなかで、漠然とした不安を持っている。
③少子化の視点から見るとうつ病などの気分障害、引きこもりから来る孤立感、自己不全感を持つストレス性のこころの障害、自分の居場所がないという適応障害が、世代を超えて発生している。
④高齢化の視点から見ると高齢になって向き合うこころの問題は、認知機能の低下と共に、青壮年期に向き合った心の問題が解決されないまま持ち越している。
⑤社会の価値観の多様化は、ライフスタイルの多様性を生み、絶えず、世代間のコミュニケーションギャップを生んでいる。

精神医療・福祉は、精神科病院・高齢者の福祉施設から厚生労働省がうたってきた住み慣れた家での治療-リハビリテーション・生活支援の方向に、大きく舵を切らねばならないと思います。つまりアウトリーチの方向に進むように考えていく必要があるのではないでしょうか。
アウトリーチとは、「手を差し伸べる」ともいえる在宅支援ツールです。患者さんの住み慣れた住環境で、精神科訪問看護を基本にした精神科訪問リハビリテーション、就労支援、在宅療養支援などを含むものです。

精神医療の病院における入院治療から、アウトリーチ・外来の充実、デイケア・外来作業療法の多様化を進めていくには、以下の点の必要性に注目し、重点的に進めていきます。
①入院・外来診療のオンライン化、電子化
②スタッフ間の情報の共有化
③精神科病院と他科の医療機関との連携、福祉との連携


地域のニーズに応える病院であるために、各々が専門領域で研鑽し、協働しながら精神医療の質を高め、さらに地域包括ケアシステムの一翼を担っていたいと思います。

(写真:円山動物園 アムールトラの「アイ」)
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